『中央駅』キム・へジン(著)生田 美保(訳)彩流社

『中央駅』キム・へジン(著)生田 美保(訳)彩流社

(あらすじ)
路上生活者となった若い男、同じく路上で暮らしながら、
毎晩、際限なく酒をあおる病気持ちの女。
ホームレスがたむろする中央駅を舞台に、
二人の運命は交錯する。『娘について』
(亜紀書房刊)を著したキム・ヘジンによる、
どん底に堕とされた男女の哀切な愛を描き出す長編小説。

(感想)
伊勢佐木町あたりのホームレス状態の人たち
を思い出しながら、また、働いても働いても
希望を見出せなかった時期の自分を思い出し
ながら、読んだ。

極端な貧困状態にある「男」だけれど、彼は
一般社会で働いたとしてもおそらく藻屑であ
りたいと思う人間なのではないかと想像する。
執着した女は、一瞬掴んだ金は、彼にとって
希望であり足枷である。
駅前で別の男が老いた犬を抱えたように。

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著者プロフィール
キム・ヘジン  (キムヘジン)  (著)
Kim Hyejin.
1983年、大邱生まれ。
2012年に、短編小説「チキンラン」で文壇入りし、
2013年、本書『中央駅』で第5回中央長編文学賞受賞。
2018年、『娘について』(古川綾子訳、亜紀書房、
2019年)で、第36回シン・ドンヨプ文学賞受賞。
他の作品に短編集『オビ』など。


生田 美保  (イクタ ミホ)  (訳)
Miho Ikuta. いくた・みほ。
1977年、栃木県生まれ。東京女子大学現代文化学部、
韓国放送通信大学国語国文学科卒。2003年より韓国在住。
訳書に、
『怠けてるのではなく、充電中です。  
    昨日も今日も無気力なあなたのための心の充電法』
(ダンシングスネイル 著、生田美保 訳、CCCメディアハウス、2020年)、
『それでも、素敵な一日』
(ク 作家 著、生田美保 訳、ワニブックス、2020年)、
『いろのかけらのしま  ポプラせかいの絵本』
(翻訳、イ・ミョンエ 著、ポプラ社、2017年)、
『野良猫姫  新しい韓国の文学』
(翻訳、ファン・インスク 著、鈴木千佳子 イラスト、クオン、
2014年)、
『韓国・朝鮮の知を読む』
(部分訳、野間秀樹 編、クオン、2014年)などがある。

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