『海と山のオムレツ』カルミネ・アバーテ(著), 関口 英子(訳)

 『海と山のオムレツ』
カルミネ・アバーテ(著), 関口 英子(訳)
新潮社(新潮クレストブックス)

(あらすじ)
美味しい食を分かち合うことの歓び。食べることはその土地と生きてゆくこと。舌を燃やし、思い出を焼きつくすほど辛い唐辛子、庶民のキャビアと呼ばれるサルデッラに腸詰サラミのンドゥイヤ……。南イタリア、カラブリア州出身の作家が、アルバレシュという特殊な言語と食文化を守ってきた郷土の絶品料理と、人生の節目における家族の記憶とを綴る自伝的短篇集。

(感想)
大所帯で囲む食卓の、その土地でとれたものの美味しさ。高校生になって下宿をし、ひとりで食べると『孤独のせいで味蕾がしぼんでしまうみたい』な体験。 集まって食べることの楽しさは、今だからこそ夢の中のできごとのような美しさを持って伝わってくる。

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カルミネ・アバーテ
イタリア人の作家。
1954年、イタリア南部カラブリア州の小村カルフィッツィに生まれる。 少数言語アルバレシュ語の話される環境で育ち、イタリア語は小学校で学ぶ。バーリ大学で教員免許を取得、ドイツ・ハンブルクでイタリア語教師となり、1984年にドイツ語で初めての短篇集『かばんを閉めて、行け!』を発表した。
1990年代半ばに北イタリアのトレント県に移住し、現在まで同地で生活を送る。
イタリア語で執筆した『円舞』(1991年)で本格的に小説家としてデビュー。 『帰郷の祭り』(2004年)でカンピエッロ賞最終候補となり、2012年に『風の丘』で第50回カンピエッロ賞を受賞した。

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